養子縁組による遺留分対策

遺産分割・遺留分

1 相続させたくない方の遺留分を少しでも小さくする方法

 相続人の中に相続させたくない人がいる場合、具体例として、長男に全てを相続させて次男には一切相続させてたくないというような場合、「長男に対して全てを相続させる」という内容の遺言書を作成するという方法がまず一番に考えられます。もっとも、このような遺言書を作成していても、次男は長男に対して遺留分侵害額の請求をすることができます。

 この点、相続させたくない方の遺留分を少しでも小さくする方法として、養子縁組により、法定相続人を増やすという方法があります(遺留分の割合は、法定相続人の構成や人数によって決まります)。

 遺留分が認められる養子の人数には民法上制限がありません。すなわち被相続人が何人の養子と養子縁組しても、養子全員が、自分の遺留分が侵害された際、遺留分侵害額の請求を行うことができます。そして、養子に認められる遺留分の割合は実子と同じです。したがって、養子縁組の人数を増やせば増やすほど、相続させたくない方の遺留分を小さくすることが可能です。

2 養子縁組により遺留分対策をする際の注意点

 ただ、この場合、「長男に対して全てを相続させる」という内容の遺言書を作成していても、次男だけでなく他の養子からも遺留分侵害額の請求をされる可能性がある点には注意が必要です。

 また、養子縁組の届出をしても、当事者間に縁組をする意思がないときは、養子縁組は無効になります(民法802条)。したがって、あまりにも多くの人と養子縁組をしてしまうと、その全部または一部について「当事者間に縁組をする意思がない」と主張され、養子縁組が無効と判断されてしまう可能性があります。

3 養子縁組に関する相続法上の制限

 養子縁組は、法定相続人を増やすことによって基礎控除額を増やして相続税の軽減を図る手段としても利用されてますが、昭和63年法律109号による相続税法の改正により、税法上は制限されることとなりました。具体的には、相続税の基礎控除の計算においては、養子の人数は、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人まで、基礎控除を計算する際の法定相続人の数に含めることができるとされております(相続税法15条2項、同63条)。

 

弁護士: 赤松和佳