物上保証と特別受益

遺産分割・遺留分

 

1 はじめに

遺産分割において、被相続人の土地に、相続人の債務を被担保債務とする抵当権設定がされていた場合、当該抵当権設定(物上保証)は特別受益とみなされるか、時折問題となります。

 

2 被相続人の、相続人に対する物上保証は特別受益にあたるとした判例

東京地裁平成22年2月4日判決では、「被相続人からの相続人への物上保証の設定は、贈与に準じて特別受益に該当すると解するのが相当である」とし、「土地の価額を上限として、被担保債権額につき、被相続人から特別受益を受けたものと解するのが相当」とされました。

 

3 最後に

 上記判例は物上保証が贈与と同視できる実質的理由を明確にしていません。相続開始時において被担保債務が債務者によって大半が弁済されていた場合には、被担保債権額につき、被相続人から特別受益を受けたと解するべきか、疑問が残ります。

当所では、ご依頼者の個々のケースに従い、ご相談を承りますので、ぜひご来所くださいませ。

弁護士: 中川真緒