死後事務委任契約の解除

遺言執行

1 はじめに

 死後事務委任契約とは、委任者が、生前に、自らの死後の事務手続きについて委任を行う契約を指します(民法656条:準委任契約)。自らの相続人がいない場合、相続人がいても頼ることが出来ないといった事情があり、かつ、自らの希望に沿って死後の事務手続きが行われて欲しいと考える場合には、死後事務委任契約を締結する必要がございます。
 前回のコラムでは、死後事務委任契約の具体的な内容、そして契約の有効性についてお話いたしました。

 

2 委任者の地位を承継する相続人による死後事務委任契約は解除

 死後事務委任契約が締結されたが、委任者の死後、委任者の地位を承継する相続人が契約を解除したい場合、解除することは可能なのでしょうか。

 下記判例の通り、契約内容が、不明確又は実現困難、委任者の地位を承継した者にとって履行負担が加重などの特段の事情がある場合に限り、解除することは許されるとし、原則、解除は許されません。

 東京高裁平成21年12月21日判決「委任者の死亡後における事務処理を依頼する旨の委任契約においては、委任者は、自己の死亡後に契約に従って事務が履行がされることを想定して契約を締結しているのであるから、その契約内容が不明確又は実現困難であったり、委任者の地位を承継した者にとって履行負担が加重であるなど契約を履行させることが不合理と認められる特段の事情がない限り、委任者の地位の承継者が委任契約を解除して終了させることを許さない合意をも包含する趣旨と解することが相当である。」

 

3 最後に

 以上、死後事務委任契約について解説いたしました。相続に関しお悩みのことがあれば、ぜひご相談ください。

弁護士: 中川真緒