共有不動産と相続

遺産分割・遺留分

1 共有不動産

1つの不動産について、複数人が各自の割合で所有権を有していることがあります。そして、このような「共有不動産」については、共有者の全員の同意がないとできない行為や過半数の同意がない行為もあり、相続財産の中に「共有不動産」がある場合には、相続によって更に共有者が細分化され増えていくと、共有不動産について、さらに決定しづらくなるなど支障が生じるため、できる限り共有状態を解消することが望ましいといえます。

2 遺産の共有持分と他の共有関係を解消する方法

最高裁の判例によれば、共有者の一部の人に相続が生じ、遺産の共有持分と他の共有持分が存在する場合、全体の共有状態を解消するためには、共有物分割訴訟をすべきであるとしています(平成25年11月29日判決)。当該訴訟において、遺産共有持分を有する相続人らに分与された財産があれば、遺産分割の対象となります。

3 おわりに

共有不動産について、相続人らにおいては特に持分の取得を希望しない場合には、被相続人の生前に他の共有者との間で協議のうえ共有関係を解消しておいていただくべきといえます。仮に、そのような対策がなされず、相続が発生した場合には、さらに相続が発生することで、共有者が細分化されていくことを防ぐためにも、2のような段階を踏んで、共有状態は解消しておくべきかと存じます。

弁護士: 立野里佳