遺産分割調停に出席しない当事者がいる場合2
遺産分割・遺留分
1 はじめに
本コラムは別コラム「遺産分割調停に出席しない当事者がいる場合」同様に、遺産分割調停の当事者の一部が出席しない場合に、遺産分割を行う方法について解説します。同コラムでは、調停に代わる審判による方法を紹介しましたが、本コラムでは別の方法を紹介します。
2 電話会議・Web会議の活用
遺産分割調停は、裁判所に赴かずとも電話会議やWeb会議により出席することが可能です(家事事件手続法258条1項、54条)。そのため、電話会議やWeb会議を活用することで、当事者全員が出席できれば、遺産分割調停も可能となります。
もっとも、電話会議設備の問題や(同法54条1項は「同時に通話できる方法」が要件となっています。)、裁判所側の判断によっては、電話会議やWeb会議が認められないこともある点に注意が必要です。
3 家事事件手続法270条に基づく調停条項案の書面による受諾
調停に代わる審判や電話会議・Web会議の利用の他に、家事事件手続法270条に基づく調停条項案の書面による受諾手続きを利用することもあり得ます。
この手続が利用できる要件としては、以下のとおりです。
①出席できない当事者が遠方に居住していたり、病気やその他の理由により裁判所への出頭が困難であること、
②当該当事者が予め調停委員会から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出すること
③他の当事者が期日に出頭すること
そのため、当事者間で調停条項内容に争いがない場合等では活用されることがあります。
弁護士: 土井將