相続させる旨の遺言について

遺言作成

1 「相続させる旨の遺言」とは

 「被相続人は、相続人に対し、特定の遺産(相続財産)を相続させる。」

 このような遺言は、「相続させる旨の遺言」と呼ばれ、「遺産分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言」として、特定財産承継遺言として規定されています(民法1014条2項)。

 

2 遺産分割を要しない

 上記のような遺言を行うことにより、特段の事情がない限り、遺産分割等、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡時に直ちに当該遺産は相続により相続人に承継されます。

 また、遺産分割方法の指定であるため、相続人間で異なる遺産分割をすることはできません。

 

3 単独で登記移転ができる

 上記遺言により、特定の不動産を承継した相続人は、単独で登記を移転が可能です。

 

4 法定相続分を超える部分を承継した場合の注意点

 法定相続分の範囲内で承継した場合、登記等の対抗要件なくして第三者に対抗できます。

 一方で、法定相続分を超える部分を承継した場合、承継した相続人は、その法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができません(民法899条の2)。この点、ご注意ください。

 なお、この規定は、民法改正によって新たに規定されたものであり、令和1年7月1日以後に開始した相続に適用されます。(令和1年7月1日より前に開始した相続については、法定相続分を超える部分についても、対抗要件を備えずして第三者に対抗できます。)

 

5 おわりに

 相続人の中で誰にどの相続財産を相続させるか指定する場合には、この方法が便利であり、実際に、遺言作成実務上多くの場面でこの「相続させる旨の遺言」が用いられています。

 当事務所では、遺言に関する様々な問題を取り扱っております。遺言の作成についてお悩みの方は、ぜひお気軽に、ご相談ください。

 

 

弁護士: 中川真緒