遺言能力について
遺産分割・遺留分
1 はじめに
ご相続の際に遺言書がある場合、その遺言書の有効性が争われることは珍しくはありません。遺言書が有効であるためには、まず、遺言者が遺言書を作成した時に遺言能力を有していたことが必要です。
2 遺言能力とは
遺言能力とは、遺言の内容を理解し、遺言の結果を弁識し得るに足りる意思能力のことです。
民法961条では、「十五歳に達した者は、遺言をすることができる。」と規定しており、遺言能力の基準を15歳としています。なお、未成年者は法定代理人の同意がなければ、自分で取引行為を行うことができませんが、遺言に関しては法定代理人の同意などを必要としません(民法962条)。
3 成年被後見人が遺言書を作成するには
成年被後見人であるからといって、一律に遺言能力が否定されるわけではありません。成年被後見人の判断能力が一時的に回復していることもあり、その際に行った遺言は有効であるからです。ただし、①成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いが必要であり(民法973条1項)、②遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押す必要があります(民法973条2項)。
遺言書が有効であるかどうかについては、その他にも様々な要件があります。詳細については、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士: 仲野恭子