遺留分放棄について

遺産分割・遺留分

1 相続発生後の遺留分放棄

  相続が発生した後、相続人が、自己に不利な遺言が遺されている場合に、遺留分を放棄することは、裁判所の許可なく可能です(最高裁S41.6.16判決)。

2 相続発生前の遺留分放棄

  他方、相続が発生する前に遺留分を放棄しようとする場合には、裁判所の許可が必要となっています(民法第1049条)。

3 遺留分放棄の要件

遺留分放棄を裁判所に申し立てた場合に、必要とされる要件は、①遺留分放棄者の真意によるものであること、②合理的理由・必要性があること、③放棄に見合う代償財産の提供があること、とされています。ただし、③については必須要件ではないとも言われています。

4 遺留分放棄の取消

遺留分放棄が認められた後、遺留分放棄許可の取り消しを求めることができるか、については、遺留分放棄許可審判の取消し自体は可能であるが、許可当時の事情が変化し、遺留分放棄の状態を存続させることが客観的に見て不合理、不相当と認められるに至った場合(東京高裁S58.9.5決定)には認められる、とされていますが、認められる例は少なく、容易には認められませんのでご注意ください。

弁護士: 宮﨑はるか