自筆証書遺言書保管制度

遺言作成

自筆証書遺言は、費用も公証人の関与もなく作成できる遺言です。(自筆証書遺言の方式について、コラム「相続法改正①自筆証書遺言の方式緩和」を参照ください。)しかし、遺言書の紛失のおそれや相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、改ざんの危険があることがデメリットです。これらのデメリットを補う制度として、自筆証書遺言書保管制度がございます。

自筆証書遺言書保管制度とは、遺言者の作成した自筆証書遺言書を法務局にて保管する制度です。遺言者本人が、管轄の法務局に出向き、申請を行うことで法務局にて遺言が保管されます。本制度のメリットとしては、遺言が安全に保管できることの他、保管申請の際、作成した自筆証書遺言が民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかの形式的な確認も受けることができます。更に、遺言者が亡くなったときに、あらかじめ指定された方へ遺言書が法務局に保管されていることを通知することが可能なため、遺言を発見してもらいやすくなります。
遺言者が亡くなり相続が発生した後、相続人が、自筆証書遺言保管制度を利用した遺言は、家庭裁判所にて検認の手続を受ける必要がないこともメリットのひとつです。

上記の通り、自筆証書遺言書保管制度は、ご自分で自筆証書遺言を保管される場合に比べ、紛失等の危険が及びにくい点で優れています。
一方で、上記制度では民法の定める形式は確認されるものの、遺言の有効性を保証されるものではなく、また、遺言の内容に関するアドバイス等は受けられません。自筆証書遺言保管制度の利用含め、家族への財産の残し方でお悩みの方はぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士: 田代梨沙子