特別縁故者への財産分与 その①

遺産分割・遺留分

1 法定相続権

故人が遺言書をのこしていなかった場合、相続人は民法にしたがって決まります(民法900条)。

よって、誰が法定相続人になるのか、そして、各自の相続分はどのくらいなのかについては、別のコラム【相続人の範囲と相続放棄】にて紹介したとおりですが、故人のいとこの方などは、法定相続人に含まれませんので、故人から相続財産を遺贈してもらえる旨の遺言書がなければ、法定の相続権は認められません。

2 特別縁故者制度 

1のとおり、法定相続権がなく、相続財産を遺贈してもらえる内容の遺言書ものこされていなかった場合には、原則的には、故人と親子や兄弟姉妹のように非常に懇意にしていた方でも相続をすることができません。

しかしながら、いくつかの前提条件を満たす場合、①被相続人と生計を同じくしていた者、②被相続人の療養看護に努めた者、③その他被相続人と特別の縁故があった者(民法958条の3)については、家庭裁判所の審判により相続財産の全部または一部を受け取ることが可能です。

特別縁故者の申立てが可能になるのは、法定の相続人が不在の場合に、家庭裁判所に対して相続財産を管理する者(相続財産管理人)の選任申立てを行い、相続人の不在が確定した後になります。ですので、相続財産から相続の分与を受けるために、相続財産管理人の申立てから必要な場合もございます。

3 最後に

当事務所では、特別縁故者の申立てや相続財産管理人(特別縁故者への分与について家庭裁判所に対して意見を述べる業務も行います。)の業務も多数取り扱っております。どのような場合に特別縁故者に該当するのか、申立てを認めてもらうには、どのような資料が有用なのか等、まずはご相談いただければと存じます。

弁護士: 立野里佳