遺言書と付言
遺産分割・遺留分
1 はじめに
遺言書を作成する場合、家族への感謝の言葉や自己の葬儀の方法の指定等、最後に家族に伝えたいことは遺贈(民法964条)や相続分指定(民法902条1項)の他にもたくさんあろうかと思います。遺言に残した言葉は、すべて法的効力があるのでしょうか。
2 遺言事項と付言事項
遺言によって法的効果が生ずる事項は、法律で限定的に定められています。例えば、遺贈(民法964条)、相続分指定(902条1項)、認知(民法781条2項)、未成年後見人、未成年後見監督人の指定(839条、848条)、祭祀承継者の指定(897条1項ただし書)がこれに該当します。遺言によって法的効果が生じる事項は遺言事項といいます。
また、「遺言事項」以外の事項を「付言事項」といいます。例えば、「兄弟仲良く暮らしてほしい」や「葬儀方法は■■にしてほしい」等の希望は付言事項であり、法的効力は生じず、これに違反したからといって、法的に問題になることはございません。
3 付言事項の効果
上記の通り、付言事項には法的拘束力はございません。しかし、付言事項をしっかりと記載しておくことで、相続人間の納得感を増し、後に相続人同士での争いを防ぐ効果等も考えられます。遺言作成の際は、しっかりと自分の意志を相続人に伝えるため、ぜひ付言事項をご活用ください。
弁護士: 田代梨沙子