遺留分と生前贈与、生命保険

遺産分割・遺留分

1 遺留分侵害額請求とは

  相続が発生し、遺言が遺されていたものの大部分が特定の相続人に相続させる内容になっていた場合など、遺言により遺留分(法定相続分の2分の1)が侵害されているときには、遺留分侵害額請求を行うことができます(民法1046条1項)。

2 生前贈与

  ただ、遺留分を算定するための財産は、相続開始時(死亡時)の財産のほかに、一定の生前贈与等の金額も加えることとなっています。

  詳しくは、こちらのコラム(遺留分を算定するための財産の価額)のとおりですが、相続開始より10年以上前の贈与については、算入しないこととなっておりますので、全ての生前贈与が遺留分の算定の対象となるものではありません。

3 生命保険

  また、相続人等を受取人とする生命保険の死亡保険金についても、遺産の対象にも当たりませんので、原則として特別受益に該当せず、遺留分の算定の対象となる財産にも当たりません。

  ただ、相続財産が生命保険のみであったり、遺産に占める割合が極端に過大であったりした場合に、特別受益に該当するとの最高裁判決(最高裁判所平成16年10月29日決定)により、特別受益に準じた持戻を肯定した高裁決定(名古屋高裁平成18年3月27日、東京高裁平成17年10月27日決定)などもありますので、あまりに過大な生命保険については注意が必要です。

弁護士: 宮﨑はるか