特別縁故者への財産分与 その③

遺産分割・遺留分

1 特別縁故者制度

前回までのコラム【特別縁故者への財産分与  その①】【特別縁故者への財産分与  その②】において、法定相続権がない方でも、家庭裁判所の審判により特別縁故者として相続財産の全部または一部を受け取ることが可能であることをご説明しました。

今回は、特別縁故者として相続財産を受け取る場合に、税務上留意すべき点をご説明します。

2 基礎控除など

特別縁故者が相続財産を受け取った場合も、これは相続税の課税対象となります。

そして、通常の相続と同様に相続税の3000万円の基礎控除があります(相続税法15条)。

一方、相続税の基礎控除の計算式は、以下のようになりますところ、特別縁故者制度は「法定相続権」がない方が申立てを行うことが前提ですので、下記の法定相続人の数に応じた基礎控除はなく、基礎控除の金額は3000万円のみになります。

■相続税の基礎控除の額 = 3000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)

基礎控除を超える金額を受け取った場合は、基礎控除を超える部分の金額に対して相続税が課税されますが、結論としては、特別縁故者が受け取った額が3000万円を超える場合に場合、相続税が課税されます。

その他にも、特別縁故者には、適用外となる控除制度があります。

3 相続税の申告期限

法定相続人の相続税の申告期限は、相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内とされています(相続税法27条)。

一方、特別縁故者の相続税の申告期限は、相続財産の分与があったことを知った日(審判確定日)の翌日から10ヶ月以内です(相続税法29条)。

4 まとめ

以上のとおり、特別縁故者が相続財産を受け取る場合、通常の相続税の申告よりも異なるところがございますので、ご留意ください。

弁護士: 立野里佳