遺留分算定の基礎財産額がゼロ又はマイナスとなる場合の遺留分の考え方
遺産分割・遺留分
判例上直接この問題を論点にしたものは見当たらないものの、学説上は3つの立場に分かれており、その中でも理念的に対立するのは次の2つの見解です。
第1説は、基礎となる財産がゼロまたはマイナスである以上、遺留分もゼロであるとしています。この考え方によれば受贈者の利益が強く保護されることとなります。
第2説は、基礎となる財産がゼロまたはマイナスの場合には、そもそも被相続人は処分する遺産部分を有しなかった(自由分がゼロである)にもかかわらず贈与をしたのであるから、当該贈与は減殺の対象となるとしています。この考え方によれば、受贈者の利益よりも、遺留分を侵害された相続人の利益を強く保護することになります。
当事務所は遺留分権利者側からご依頼いただき、訴訟において第2説を主張しました。裁判所の心証としては第1説と考えているようでしたが、結果的には和解により、一定の金額をお支払いいただくことができました。
弁護士: 赤松和佳