寄与分について

遺産分割・遺留分

1 寄与分とは

寄与分とは、相続人が被相続人の療養看護をした場合や被相続人の営む事業に従事した場合など、財産維持や増加に貢献した場合に、同相続人の法定相続分にその寄与した分を上乗せする制度です。

2 寄与分の要件

さて、寄与分を取得できる要件は、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」(民法904条の2第1項)ことです。したがって、寄与分の取得には「特別の寄与」が必要であり、一定期間療用看護しただけの場合や被相続人の営む事業に従事しただけでは認められません。では、どのような場合に「特別な寄与」と認められるのでしょうか。一般的に、「特別な寄与」とは相続人が被相続人との身分関係に基づき通常期待される程度を超えて、被相続人の財産の維持増加に貢献したことが必要であると考えられています。以下、具体的事例を紹介します。

3 判例
①寄与分を認めた事例
認知症になった被相続人について、常時の見守りが必要となった後の期間について、親族による介護であることを考慮し、1日あたり8000円程度と評価し、寄与分を876万円と定めた事例。
「平成14年2月ころから被相続人に認知症の症状が顕著に出るようになったため,相手方は,被相続人の3度の食事をいずれも相手方方でとらせるようになり,被相続人が○○(相続人居住地)を訪問するときは,相手方が往復とも被相続人に付きそうようになった。このころから,被相続人は常時,見守りが必要な状態となり,また,被相続人の排便への対応にも相手方は心を砕いていた。
 申立人らも,平成14年以降の3年間については,相手方が被相続人の介護を献身的に行っていたことを認めており,この期間については,相手方の被相続人に対する身上監護には,特別の寄与があったものと認められる。…
  (4) 相手方の被相続人に対する身上監護については,親族による介護であることを考慮し,1日当たり8000円程度と評価し,その3年分(1年を365日として)として,8000円×365日×3=876万円を寄与分として認めることとした。」(平成19年2月8日大阪家庭裁判所審判)

②寄与分認めなかった事例
被相続人と同居していた相続人が、約2年間被相続人の入院時の世話や通院付添などをしていた事案において、「同居親族の通常の相互扶助の範囲を超えるものではない」と判断された事例。
「1(1)ア 相手方Bは、昭和58年11月ころ、妻子と共に、F及び被相続人と同居して生活するようになり、F死亡後は、引き続き被相続人と同居して生活した。
イ 被相続人は、平成10年ころから平成12年2月ころまでの間に、胃潰瘍、ぜん息、白内障、腰痛等及び変形性脊椎症等の治療を受けるため、合計6回入院した(入院期間は、5回は1か月程度、1回は2か月程度である。)。また、被相続人は、平成12年11月ころから、毎日のように理学療法を受けるために通院し、その後、2週間に1度程度、内科及び整形外科で治療を受けるために通院した。
ウ 相手方Bは、被相続人の入院時の世話をし(毎朝新聞やお菓子等を届け、夕方に洗濯物を持ち帰った。)、また、通院の付き添いをした。
(2) 相手方Bは、上記のとおり、被相続人の入院時の世話をし、また、通院の付き添いをしていたものであるが、これは同居している親族の相互扶助の範囲を超えるものであるとはいえない上、これによって、被相続人が特別にその財産の減少を免れたことを認めるに足りる資料は見当たらない。そうすると、これをもって、相手方Bに被相続人の財産の維持につき特別の寄与があったとみることはできない。」(平成18年3月22日大阪家庭裁判所堺支部審判)

 

寄与分については、弁護士にご相談ください。

弁護士: 田代梨沙子