デジタル遺品と相続

遺産分割・遺留分

1 はじめに

デジタル遺品とは、被相続人が持つデジタルデバイスに保存されているデータ等のことをいいます。

近年は、デジタル化が進み、デジタル遺品が問題となるケースが増えております。

本コラムでは、デジタル遺品の問題について解説いたします。

 

2 デジタル遺品も相続財産になる

デジタル遺品も相続財産となるのでしょうか。相続対象財産について規定した民法896条は以下のとおり規定しています。

「相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし,被相続人の一身に専属したものは,この限りでない」

この条文からもわかるとおり、被相続人の一切の権利義務を承継するのですから、財産的価値があると認められるものの権利については、相続財産になるといえるでしょう。

 

3 デジタル遺品の分割には問題点が多い

デジタル遺品についてはいろいろな問題がございます。

まず、デジタル遺品は、本人のみが管理しているものが多く、相続人において把握困難なことが多々あります。

また、デジタル遺品は、パスワードがかけられているものが多くあり、中身を確認しようとしても困難なケースがあります。

パスワードを解除することは、法律上「保存行為」(民法252条ただし書)としてそれぞれの相続人が単独で行えるものの、アカウントごと処分するなどの場合には「処分行為」(民法251条)として相続人全員の同意が必要となります。

 

4 最後に

本コラムでは、デジタル遺品についてご紹介してきました。

近年デジタル遺品が問題となりつつも、課題が多いのが現状です。

相続についてお悩みの方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士: 伊藤由香